東京メトロ、鉄道総合技術研究所などは18日、5Gを活用したCBTCシステムの営業線における実証試験に成功したと発表しました。

CBTCは、無線通信を使用する信号保安システム。各列車が無線で送信した列車位置をもとに、それぞれの列車が先行列車へ衝突しない停止限界点までの距離を計算し、運転を制御することで、列車間隔を保つ仕組みです。東京メトロでは、2024年12月に、丸ノ内線でCBTCの使用を開始しています。
東京メトロなどは今回、第5世代移動通信設備(5G)を活用し、地下のトンネル内や地上の線路内等に設置された地上設備と列車間での通信を実現するための実証試験を実施。パブリック(公衆網)およびローカル(自営網)の5G用い、FRMCS(次世代の鉄道向け無線通信基盤)を参照した鉄道用通信基盤のプロトタイプを、東京メトロのフィールド内に構築。鉄道の各種システムを想定した5G通信の実用性を、丸ノ内線新大塚~後楽園間において、2024年8月から2025年3月にかけて検証しました。結果、通信の安定性により各種鉄道システムが問題なく機能し、5Gと鉄道用通信基盤の有用性が確認されたとしています。なお、5Gを活用したCBTCシステムの営業線における実証試験は、国内では初の取り組みになるといいます。

東京メトロなどは、本実証試験を通じて、5Gを用いた鉄道用通信基盤の有効性が確認されたと説明。試験結果や仕様案などを業界団体が主催している鉄道用の通信基盤の構築や5G活用等の共通化に向けた活動へ提供し、鉄道業界の標準化活動へ貢献するとしています。また、汎用性が高い5G技術を鉄道システムへ活用することで、鉄道の維持管理コストの低減が期待できるほか、国際的プロジェクトへの参入時のハードルを引き下げ、海外鉄道ビジネスの展開にも貢献できるとしています。