鉄道友の会は22日、2025年の「ブルーリボン賞」「ローレル賞」を決定したと発表しました。
ブルーリボン賞とローレル賞は、日本の鉄道車両の進歩発展に寄与することを目的に、鉄道友の会が毎年1回、前年の1月1日から12月31日までの間に国内で営業運転を正式に開始した新造および改造車両を対象として、鉄道友の会会員の投票に基づき選定している賞。ブルーリボン賞は「最優秀車両」、ローレル賞は「優秀車両」と位置付けられています。
2025年のブルーリボン賞に選ばれたのは、特急「やくも」用の新型車両として製造された、JR西日本の273系です。

273系は、それまで「やくも」で使われていた381系の後継車両として開発された車両。外観はオリジナル色の「やくもブロンズ」を採用し、車内は「山陰の我が家のようにくつろげる、温もりのある車内」をコンセプトとしたデザインとなっています。また、381系と同様に振り子式車両として開発された273系ですが、同形式では鉄道総研、川崎車両と開発した新たな振り子制御装置を搭載。従来車よりも乗り心地を改善しています。鉄道友の会では、「デザイナーとJR西日本社員を交えたワークショップでデザインを構築し、既存特急形車両とは異なる独自性が特徴」「貫通形高運転台の先頭部は、271系を基本に断面に合わせて少し形状が変わり、灯具の配置や塗色で新しい印象」と説明しています。
ローレル賞には、近畿日本鉄道の8A系と、福岡市交通局の4000系が選定されました。
近鉄8A系は、同社にとって24年ぶりとなる新系列一般形車両。1960~70年代に製造された車両の置き換えを目的に開発されました。鉄道友の会では、8A系は会員による投票において支持率が高く、また、同社の次世代を担う一般形車両として、極めて高い運用の汎用性、柔軟性と高レベルな客室サービスを実現しつつ、新たな標準化を目指した車両として高く評価し、ローレル賞に選定したと説明しています。

福岡市交通局4000系は、空港線・箱崎線用の1000N系を置き換えるために導入された車両。切妻の前面と外観はシンプルですが、車内は「すっきりとした開放感」を演出するほか、フリースペースでは大窓つきの1人掛け座席や荷物置き場つき2人掛け座席を設置。さらには、永久磁石不要な同期リラクタンスモーターを世界で初めて採用するなど、機器類に最新技術を積極的に取り入れています。鉄道友の会では、シンプルな機能美の中に、新たなデザイン、技術をバランスよく搭載し、乗客の快適性に最大限配慮した次世代の地下鉄車両として高く評価し、ローレル賞に選定したとしています。
