城端線・氷見線沿線の自治体首長らが参加する城端線・氷見線再構築会議は、16日に開催した第4回会議において、両線に投入する新型車両のデザインを発表しました。

城端線と氷見線は、現在はJR西日本が運営する路線ですが、いずれも赤字路線であることに加え、2015年の北陸新幹線金沢開業以降、両線以外のJR在来線との接続がない路線となっています。2024年には、両線の運営をあいの風とやま鉄道へ移管すること、新型車両を導入することなどを含めた「鉄道事業再構築実施計画」がまとめられており、JR西日本や自治体の間で経営移管に向けた準備が進められています。
新型車両は、相模鉄道の「デザインブランドアッププロジェクト」も手掛けた、PRODUCT DESIGN CENTERの鈴木啓太さんがデザインを担当しました。コンセプトは「KASANE」。城端線・氷見線沿線の自然・風土・文化、再構築事業に基づいたストーリー検討により、「伝統×未来、海×山、東西×南北、日常×観光」をデザインし、城端線・氷見線の未来をシンボリックに表現したといいます。
車両の外観は、沿線の風景や自然に馴染み、海と山を結ぶ路線であることを表現。また、あいの風とやま鉄道とのつながりも意識したといいます。車両前面は、安全性と審美性を両立した立体感あるものとしており、ライトにLEDを使用したことで、個性豊かな表現が可能となったとしています。

内装は、天井や床に木目を活用し、明るい車内空間とあわせ、温かみを演出。座席は、沿線の車窓から望める豊かな緑を基調としたものとし、車内外の一体感を創出します。また、窓の一部に丸窓を取り入れ、「利用者が沿線の魅力、路線への愛着、ワクワク感を感じられるデザイン」としています。

再構築実施計画においては、新型車両は電気式気動車などの新しいタイプとして導入する予定。既存のキハ40系を置き換え、振動の抑制による乗り心地の改善、加速性能の向上による速達性の確保、環境性能の向上が図られます。また、デザインの工夫によって、利用者が路線に愛着を持てる「乗りたくなる路線」を目指すとしています。

加えて、新型車両導入による性能向上と車両数増加で、増発や増車も可能に。現在の日中のダイヤでは毎時1本程度の運転ですが、これを毎時2本程度運転するパターンダイヤとし、利便性の向上を図る狙いです。
新型鉄道車両の導入費用(車両設計・製造など)は173億円を見込んでおり、2023年度から2028年度までの期間で計画されています。