京浜急行電鉄は12日、2025年度の鉄道事業設備投資計画を発表しました。同社はこの中で、1000形8両編成2本を代替新造する方針を示しています。この新造車両のイメージ画像では、車両側面が「塗装」ではなく、「ラッピング」となっているようにうかがえます。

京急1000形(2代目)は、2002年にデビュー。当初は塗装したアルミ車体で製造されていましたが、2006年度以降の導入編成はステンレス車体に変更。この時点では側面のデザインはラッピングとなっていましたが、2017年度導入分からは、「京急らしさ」を出すため、ステンレス車体を全面塗装した形に変更されました。


京急の広報担当者によると、今回導入する車両は、側面はラッピングで間違いないとのこと。環境負荷を考慮したことが理由だそうで、塗装時に使用するシンナーなどの影響をふまえた結果、以前の1000形のように、ラッピングへと戻す形としたそうです。
かつて「京急らしさ」を理由に導入した塗装車体を、今回ふたたびラッピング車体に戻すことについて、広報担当者は「うちの電車らしくない」という意見もあったと、社内事情を説明してくれました。しかし、「銀か白か」というデザインの観点よりも、近年求められている環境負荷軽減の方が重要であるということから、今回ラッピングへの回帰と相成ったそうです。
ちなみに、設備投資計画では車両の導入数と外観しか発表されていませんが、同社の広報担当者は、内装についても簡単に説明してくれました。直近に導入された1000形では、乗務員直後に進行方向を向いたクロスシートが設置されており、こちらは利用者から「展望席」と呼ばれることもあるそうですが、これは今回の1000形でも設置されるとのこと。ただし、展望席の横にあった窓は、今回導入編成ではデザインの観点などを理由に廃止されています。


また、2017年度から2023年度までに導入したステンレス塗装車について、今後の検査などでラッピングへと切り替える予定があるかを聞きましたが、こちらは現在検討中とのことです。
京急の2025年度鉄道事業設備投資計画では、1000形の新造のほか、品川駅付近の連続立体交差事業やホームドア設置工事の推進、羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事、 鉄道オペレーション変革に向けた取り組みなども盛り込まれました。投資額は総額約370億円となっています。