東武鉄道は、4月30日開催の取締役会で、同社の長期経営ビジョンにおける目標数値等の変更について決議したと発表。この中で、新型特急⾞両の開発を進める方針が示されました。

同社グループが掲げる現在の長期経営ビジョンは、2024年度に定めたものです。しかし東武鉄道では、大型プロジェクトを順調に進捗させることを通じて、さらなる成長が可能であると考えたと説明。これにより、長期経営ビジョンの目標について、時期を変更したうえで、目標数値を引き上げることとしたとしています。
新型特急車両の開発・導入は、⻑期経営ビジョンの実現に向けた主要プロジェクトの一つとして、ロードマップで示されています。時期は明記されていませんが、2025~2026年ごろに開発に着手し、2030年代半ばまでに導入することが検討されているようです。

現在の東武鉄道では、2023年デビューのN100系「スペーシア X」が最新の特急型車両。1990年デビューの100系「スペーシア」の後継車両の位置付けで導入されましたが、すべての100系を置き換えるには至っていません。同社はこのほか、2017年デビューの500系「リバティ」、1991年デビューの200系(「りょうもう」用車両)を、定期特急用車両として運用しています。

⻑期経営ビジョン実現に向けたロードマップにおいて、鉄道関連では、東京メトロ有楽町線との新たな相互直通運転、ワンマン運転、⾃動運転の3つも示されています。ワンマン運転は、東武スカイツリーラインの緩行線から導入し、2027年ごろに東武アーバンパークライン(野田線)、さらには全線へと順次拡大していくとのこと。自動運転は、大師線で導入することが同社の設備投資計画などでも示されてきましたが、今回のロードマップでは、これを亀戸線へ、さらに長期的には他の路線へ導入することも検討していくと示されています。
2024年度に策定した東武鉄道グループ長期経営ビジョンでは、当初は2033年度に営業利益800億円の達成を目指すとされていました。しかし、2024年度には過去最高の営業利益を記録したことや、先述した大型プロジェクトの進捗によるさらなる成長の可能性を加味し、同社は目標を変更。達成時期を2030年代半ばとした一方、営業利益は1000億円へと上方修正しました。運輸事業は「基盤事業」と位置付けられており、2030年代半ばには300億~320億円(2024年度実績は約313億円)の利益を見込んでいますが、同社は新規事業・M&A、不動産事業、レジャー事業を「成長ドライバー事業」と位置付けており、これら3つのセグメントの伸長で、営業利益拡大を狙う構えです。