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世界初、日立グループがSLへ「デジタル信号」搭載に成功 英国の「新しい機関車」で実現

2025年4月17日(木)12時5分

日立レールは16日、蒸気機関車へのデジタル信号搭載試験に成功したと発表しました。

デジタル信号「ETCS」レベル2の搭載試験に成功したClass A1 60163"Tornado"((c)Electric Egg Ltd.- stock.adobe.com)
デジタル信号「ETCS」レベル2の搭載試験に成功したClass A1 60163"Tornado"((c)Electric Egg Ltd.- stock.adobe.com)

今回試験を実施したデジタル信号は、欧州列車制御システム「ETCS」のレベル2。ETCSは、欧州共通の列車制御システム(信号保安装置)で、レベル0~レベル3の4レベルが存在します。今回の試験対象となったETCSレベル2は、日本のデジタルATCに近いシステムで、運転席に制限速度情報などを表示するほか、地上設備とともに無線を併用して列車の走行位置を検知するという特徴があります。

また、今回の試験対象となった蒸気機関車は、英国のClass A1(A1形)60163"Tornado"(トーネード)。1940年代~60年代に活躍し、全車廃車解体されたClass A1を復活させるというプロジェクトにより、2008年に落成した、新しい蒸気機関車です。日立レールによると、蒸気機関車へのETCSレベル2の搭載は、世界初だとしています。

トーネードの機関室。左上にETCS対応の速度計などを表示する画面が設置されています
トーネードの機関室。左上にETCS対応の速度計などを表示する画面が設置されています

英国の東海岸を走るイースト・コースト本線では、キングス・クロス(ロンドン)~グランサム間で、デジタル信号の導入計画「East Coast Digital Programme」(ECDP)が進められています。今回のトーネードへのETCS搭載改修および試験も、ECDPに対応したものとのこと。日立レールUKの本線信号プログラム・ディレクターであるタンク・ポーティアス氏は、「トーネードのETCSへの改修は、最も複雑で過酷な運転環境で当社の技術が試された世界初のプロジェクトだ。(蒸気機関車という)伝統とデジタル・システムが妥協することなく共存できることを証明した」と述べています。

2025年4月17日(木)12時5分更新

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