JR東日本は4日、次期東北新幹線車両「E10系」を開発すると発表した。

E10系は、E2系およびE5系の後継となる車両。E5系と同様、最高営業運転速度は時速320キロで、10両編成とする。

デザインは、英国のtangerine社が担当。JR東日本の車両としては初となる、海外デザインファームの起用となる。エクステリアは、上部を「Tsugaru green」(津軽グリーン)、下部を「Evening elm」(イブニングエルム)とし、沿線各地の山々等の自然から得たインスピレーションをイメージしたカラーリングとする。また、車体横のラインによりこれまでの新幹線のイメージを継承しながらも、日本らしさを表現するモチーフとして「桜の花弁」の形状を模した曲線を車両間でつなげ、新幹線車両のデザインに新たなイメージを吹き込む。

車内設備としては、ワーク&スタディ優先車両「TRAIN DESK」を発展させたサービスを導入する。シート配列を2列+2列とし、座席間にディバイダを設置。背もたれには、周囲との目線を遮断する大型化したサイドウィングを設ける。また、幅広で可動式のテーブルを背面に配置するほか、コンセントに加えUSB電源を設置するという。このほか、グリーン車や普通車は、「2030年代に向けてアップデート」した設備とする。


機器面では、「究極の安全」を追求する。次世代新幹線開発の試験プラットフォームである「ALFA-X」で検証してきた技術を活用。地震対策の逸脱防止用「L型車両ガイド」の設置や、ブレーキ距離短縮の実現、地震時の揺れを吸収し車両の損傷や脱線を防止するための左右動ダンパの採用などにより、より高い安全性を目指すとしている。また、「スマートメンテナンス」に対応可能な車両システムを導入するほか、車両駆動システムの効率向上を図る。

このほか、同社グループが進めてきた荷物輸送サービス「はこビュン」に本格的に対応するため、より柔軟にサービスを実現できる設備を導入。さらに、将来的な東北新幹線の自動運転導入を目指した機能の搭載に対応し準備する。
E10系は、2027年秋以降に第1編成が落成する予定。各種走行試験を実施した後に、2030年度内に営業運転を開始するという。またJR東日本は、今後予定されている札幌開業にともない運用する車両については、今回設計するE10系をベースに、別途検討するとしている。