駆け抜けた名列車

急行「安芸」 - 蒸気機関車が牽引した豪華編成の寝台急行

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1970年までC59形またはC62形が牽引した急行「安芸」。晩年の客車はすべて10系であった。呉線小屋浦~坂間 1969年10月 写真=鈴木一朗

三原から海田市まで風光明媚な瀬戸内海に沿い、山陽本線を迂回する呉線。旧国名「安芸」の地域を走るだけに、この路線には安芸津、安芸川尻など「安芸」と付く駅名が多い。そんな呉線の歴史で忘れられない列車は、なんといっても急行「安芸」である。

1950(昭和25)年、呉線経由で東京~広島間を運転していた急行に、「安芸」の名称が付いた。この時点では、荷物車と2等寝台を1両ずつ連結した以外すべて座席車という編成の客車列車だったが、その後寝台車の比率が徐々に上がり、さらに食堂車も連結してグレードアップが進む。そして、68(昭和43)年以降は荷物車が廃止され、10系軽量客車の2・3等寝台車(69年からはA・B寝台車)と食堂車という、全車が幅広車体で揃った美しい編成になった。

客車編成が変貌を遂げる間に東海道・山陽本線の電化も進んだが、相変わらず未電化だった呉線では、C59形またはC62形の牽引が続く。呉線で唯一の東京直通列車として沿線の人々に親しまれる一方、希少な蒸気機関車牽引優等列車として注目されていたが、70(昭和45)年の呉線電化により寝台急行「安芸」は終焉を迎えた。

その時のダイヤ改定で、「安芸」は大阪~呉間の昼行電車急行に生まれ変わった後、本数や区間が変化した末、75(昭和50)年には新大阪~下関間、呉線経由の寝台特急に。しかし急行当時のような威厳もなく78(昭和53)年には廃止され、「いなば」とともに最も短命なブルートレインとなってしまった。

文・松尾彦孝

<週刊朝日百科>歴史でめぐる 鉄道全路線 国鉄・JR

第33号(木次線・境線・芸備線・呉線・可部線・福塩線・三江線)

2010年2月23日(火)発売

第33号の表紙画像
朝日新聞出版発行

  • ●懐かしい鉄道風景探しの旅 神話のふるさと・奥出雲に分け入って進む、かつての陰陽連絡線
  • ●クロニクル スイッチバックとトンネルによる勾配克服の歴史
  • ●駆け抜けた名列車 急行「安芸」、準急「ちどり」
  • ●往年の車両たち C62形蒸気機関車、クモハ12形電車ほか
  • ●今を走る車両 キハ47形気動車「瀬戸内マリンビュー」ほか
  • 【連載】
    • 鉄道史の舞台/気動車の系譜
    • 評伝・鉄道の人/松本清張

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