駆け抜けた名列車

準急「かすが」 - 半世紀走り続けた関西本線の長寿列車

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島ケ原を通過するキハ55系急行「かすが」。2両目に2・3等合造車キロハ25形の初期車が連結されている。1966年5月 写真=宮内明朗

戦後の復興が本格化した1949(昭和24)年、関西本線の名古屋~湊町(現・JR難波)間で、準急列車3往復が運転を開始した。これらは当初はすべて客車による運行だったが、55(昭和30)年には1往復が気動車化される。その時投入されたのは、一般形気動車キハ17系の片運転台車で、22メートル車体にエンジンを2基搭載した試作車のキハ50形。2・3等合造の中間車キロハ18形などと編成を組んだ。これが国鉄史上初の気動車準急となり、動力近代化への重要な一歩をしるしたのである。

翌56(昭和31)年には、キハ50形を改良、21メートル車体とした量産車のキハ51形を投入し、3往復すべての気動車化が実現。この当時、名古屋~湊町間の所要は約2時間50分。ライバルの近鉄特急が同年12月に線路改良などでスピードアップし、名古屋~上本町間が2時間35分となったのに肉薄、単線を走る気動車準急の健闘ぶりがうかがわれる。これは、客車が主力だった時代としては画期的なことで、乗車率も高かった。

57(昭和32)年には、軽量車体技術の採用で車体幅が客車並みとなり、居住性も改善された準急形キハ55系を導入。合わせて編成が従来の4両から、5または6両となり、翌58(昭和33)年には春日大社にちなんだ「かすが」の列車名が与えられる。こうして名実ともに優等列車となった後、他の準急との併結も行うようになり、後に、幅広車体の急行形キハ58系も使用するなどの変化を経て、66(昭和41)年に急行に格上げ。さらに、運転本数の増減、車種や区間などの変更が続くが、85(昭和60)年にはキハ58系による名古屋~奈良間1往復に落ち着く。

しかし、JR化後は車両の陳腐化が著しくなり、99(平成11)年にはJR東海の新系列気動車キハ75形に置き換わる。そして全国的な急行削減の波の中、関西本線の非電化区間を走る唯一の優等列車として孤高の活躍を続けたが、2006(平成18)年に廃止された。

文・松尾彦孝

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    キハ58系時代が長かった急行「かすが」(右)。1991(平成3)年からはリクライニングシート換装車の3000番台が運用された。亀山駅 1995年 写真=稲谷行典

<週刊朝日百科>歴史でめぐる 鉄道全路線 国鉄・JR

第8号(関西本線・草津線・奈良線・おおさか東線)

2009年8月18日(火)発売

第8号の表紙画像
朝日新聞出版発行

  • ● 懐かしい鉄道風景探しの旅
  • ● クロニクル関西本線 東海道本線と旅客獲得競争も
  • ● 駆け抜けた名列車/特急「あすか」ほか
  • ● 往年の車両たち/DF50形ディーゼル機関車ほか
  • ● 今を走る車両/キハ85系気動車ほか
  • 【連載】
    • 鉄道史の舞台/特急形電車の発達史
    • あの日の小景/グリーン車
    • 評伝・鉄道の人/島 安次郎

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