鉄道コム

鉄道コらム

令和の時代に残る昔の社名 京王帝都電鉄の面影

2023年5月7日(日) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

東京の中心エリアに含まれる新宿、渋谷を起点に、八王子、相模原、武蔵野方面へと根を張る京王電鉄。現在の社名に変更されたのは、1998年。すでに四半世紀の時間が流れようとしていますが、沿線の一角には、かつての社名である「京王帝都電鉄」の表記が、現在も残されています。

線路わきに設置された、旧社名「京王帝都電鉄」の表記が残る注意書き
線路わきに設置された、旧社名「京王帝都電鉄」の表記が残る注意書き

京王帝都電鉄が発足したのは、1948年のこと。現在の「京王線」にあたる京王電気軌道、「井の頭線」にあたる帝都電鉄の2社分の路線をまとめた鉄道会社として設立されました。帝都電鉄は戦前、小田原急行鉄道(現在の小田急電鉄)に吸収合併され、同社の帝都線となっていました。

同線の転機は、1942年。小田急が東京急行電鉄(現在の東急電鉄)に吸収され、帝都線の名称が現在の「井の頭線」に変わります。1944年には京王電気軌道も東急に編入され、現在の京王電鉄が運営する路線が、同じ会社に属することになりました。1948年、東急の路線の再編を機に、京王線と井の頭線は同社から分離。両線をひとつの会社で運営することになりました。その社名を、「京王線」の路線名と井の頭線のかつての路線名を入れた「京王帝都電鉄」としたのです。

保存されている旧型車に残る「京王帝都電鉄」の銘板。「K.T.R.」の3文字は、「Keio Teito (Electric)Railway」を略したものです
保存されている旧型車に残る「京王帝都電鉄」の銘板。「K.T.R.」の3文字は、「Keio Teito (Electric)Railway」を略したものです

1998年に「帝都」の文字が外れ、社名からは井の頭線の歴史をうかがうことができなくなりました。しかし、線路沿いのちょっとした場所には、昔の面影をまだ見ることができます。お出かけに適した春の日に、残された鉄道の思い出を探してみるのも、よいかもしれませんね。

今回、筆者が京王帝都電鉄の表記を見かけたのは、井の頭線の沿線でした。かつて帝都電鉄だった同線が、その名前を忘れまいと旧社名を残しているように思えたのは、気のせいでしょうか。

関連鉄道リポート

鉄道コムお知らせ

画像

好きな寝台に一票を

サンライズエクスプレスの寝台のなかから、好きな種類・位置に投票してください。「旅と鉄道」共同企画

鉄道コムおすすめ情報

画像

東急・小田急の車両が西武へ

西武鉄道が導入する「サステナ」車両。東急9000系と小田急8000形の譲受が発表されました。

画像

目蒲線開通100周年記念臨

東急目蒲線(現:目黒線・東急多摩川線)の開通100周年を記念。事前申込制で乗車可。

画像

宝塚線Memorial8000

阪急8000系のメモリアル装飾編成が宝塚線にも登場。9月23日運転開始。

画像

183系C1編成撮影会

高崎駅構内留置線での有料撮影会。車内での放送・メロディ操作体験も。10月21日・22日開催。

画像

秋の風景は「逆光がベスト」!?

テクニックで化ける秋の風景写真。プロが解説する、紅葉や月とあわせた鉄道写真の撮り方は?

画像

9月の鉄道イベント一覧

まだまだ暑くても、季節は秋に突入。9月のプラン立てには、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。