かつて京阪電車では、一般列車用車両に、丸みを帯びた卵型の車体を採用していた時期がありました。「卵型電車」とも呼ばれる、一昔前の雰囲気を漂わせるこれらの車両は、2025年になってから、急速に数を減らしています。

京阪は、1959年にデビューした2000系で、卵型の車体を初めて採用。この車体形状は、その後増備された2200系、2400系にも引き継がれ、高度成長期にデビューした京阪の通勤型車両の特徴になりました。1970年代に入ると、卵型電車の増備はいったん途絶え、5扉車の5000系と、2000系以前に登場した車両の車体を流用した1000系では、ストレートな車体形状が採用されました。しかし、1978年には卵型電車の新形式として、2000系の車体を流用した2600系が登場。さらに、1981年には2600系の完全新造車バージョンである30番台が登場。卵型電車はブランクを経ながらその勢力を拡げていき、最終的に273両もの陣容になりました。

平成後期になると、卵型電車は、新車の投入によって徐々に数を減らしていきます。とはいえ、2024年4月時点では、2200系4本、2400系5本、2600系30番台4本(すべて7両編成)が在籍し、各駅停車や準急を中心に運用されていました。
しかし、2025年3月22日に実施されたダイヤ改正では、4両編成の運用数が増えた一方、7両編成の運用は減少。その結果、卵型電車の一部の運用離脱につながっています。
ダイヤ改正後、京阪の車両基地では、2200系1本、2600系(30番台)2本に「廃車」の札が掲げられています。ほかにも「休車」の札が掲げられて運用を離脱している編成もおり、2200系に至っては、2216編成(復刻塗装車両)を除き、改正後は一度も営業運転に入っていないようです。2025年4月現在で稼働する卵型電車は、2200系1本、2400系5本、2600系30番台2本で、その総数は56両。全盛期の4分の1程度にまで勢力が落ち込んでしまいました。
