鉄道コム

鉄道コらム

実は結構綱渡り⁉ 特急「はるか」の「複雑すぎる運行ルート」とは

2025年4月27日(日) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

JR西日本は、関西空港へのアクセス列車として、特急「はるか」を運転しています。主に京都~関西空港間で運転されているこの列車は、実はかなり複雑なルートで運転されています。

特急「はるか」
特急「はるか」

「はるか」は、京都~大阪間では東海道本線を走行します。ただし、京都駅を始発・終着とする列車は、京都駅は東海道本線(JR京都線)ホームではなく、山陰本線(嵯峨野線)ホームの横にある30番線を使用。また、京都駅から少しの間は山陰本線の線路を走行しています。

さらに、京都~大阪間のうち、京都~向日町間(下り列車のみ、先述の山陰本線区間を除く)と茨城~大阪間では、貨物列車用に敷設された線路を走行しています。大阪駅も、JR京都・神戸線や大阪環状線のホームとは離れた地下ホーム(うめきたエリア)を発着。ここも東海道本線の貨物支線である「梅田貨物線」にあるホームです。

大阪駅を出た「はるか」は、そのまま梅田貨物線を進み、西九条駅付近で大阪環状線の線路に合流。新今宮駅では関西本線(大和路線)に転線し、天王寺駅へ進みます。さらに天王寺駅を出発すると、同駅構内の短絡線を通って、阪和線へと進みます。

大阪付近の「はるか」の走行ルート(青線・赤線)と、同ルートで経由する貨物線や短絡線(赤線)(国土地理院「地理院地図Vector」の淡色地図に加筆し作成)
大阪付近の「はるか」の走行ルート(青線・赤線)と、同ルートで経由する貨物線や短絡線(赤線)(国土地理院「地理院地図Vector」の淡色地図に加筆し作成)

さまざまな線路を活用して運転されている「はるか」ですが、一方で関係路線が多岐にわたるため、ダイヤ乱れなどの影響を受けやすい列車です。また、「はるか」が通る山陰本線の京都駅付近と、大阪環状線に入る手前の大阪~西九条間は、ともに単線となっており、ダイヤ編成上のボトルネックとなっています。さらに西九条駅では、関西空港方面の列車は大阪環状線の外回りをまたいで内回りに転線するため、ダイヤが乱れた際にはさらなる遅延が起きやすいポイントです。

西九条駅付近における、関西空港駅行き「はるか」の走行ルート。なお、大阪方の渡り線は2020年に供用を開始したもので、それまでの「はるか」などは西九条駅で中線(JRゆめ咲線の発着ホーム)を経由していました
西九条駅付近における、関西空港駅行き「はるか」の走行ルート。なお、大阪方の渡り線は2020年に供用を開始したもので、それまでの「はるか」などは西九条駅で中線(JRゆめ咲線の発着ホーム)を経由していました

後者の大阪~西九条間については、2031年度の開業が予定されている「なにわ筋線」が、その解決の一手となります。なにわ筋線は、大阪駅地下ホームから、なにわ筋の地下を経由し、JR難波駅と南海の新今宮駅に至る路線。「はるか」も同線に乗り入れることが予定されており、大阪環状線に関連する部分のボトルネックは解消される見込みです。

また、京都駅付近の線路についても、始発駅を山科駅に変更することで、課題解決が図られるようです。JR西日本は、山科駅の改良工事を進め、2029年度にも「はるか」を山科駅発着にすると発表しています。これにより、京都駅の「はるか」発着ホームは30番線から別のホームへと変わることになるため、山陰本線との線路共用も解消されるようです。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

側面はふたたびラッピングに

京急が2025年度に1000形8連2本の導入を発表。側面は「塗装」から「ラッピング」に戻る形に。

画像

JR東海の311系、6月末引退

名古屋圏で活躍した311系が6月末で定期運用終了。引退前の記念装飾掲出、廃車回送乗車ツアーも。

画像

「緑色のサザン」復活

特急「サザン」用の南海10000系1本が、6月からデビュー時の濃淡グリーンのツートンカラーに。

画像

名鉄の新型車両「500系」

既存の100系を置き換える車両。鶴舞線直通用として、2026年度より順次導入。

画像

ニコン「Z5II」の実力は?

スタンダード機でも性能充実! 鉄道カメラマンの助川康史さんが、ニコンの新ミラーレスカメラ「Z5II」の魅力をご紹介します。

画像

5月の鉄道イベント一覧

新緑がまぶしい季節となりました。5月のプラン立てには、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。