JR西日本は、関西空港へのアクセス列車として、特急「はるか」を運転しています。主に京都~関西空港間で運転されているこの列車は、実はかなり複雑なルートで運転されています。

「はるか」は、京都~大阪間では東海道本線を走行します。ただし、京都駅を始発・終着とする列車は、京都駅は東海道本線(JR京都線)ホームではなく、山陰本線(嵯峨野線)ホームの横にある30番線を使用。また、京都駅から少しの間は山陰本線の線路を走行しています。
さらに、京都~大阪間のうち、京都~向日町間(下り列車のみ、先述の山陰本線区間を除く)と茨城~大阪間では、貨物列車用に敷設された線路を走行しています。大阪駅も、JR京都・神戸線や大阪環状線のホームとは離れた地下ホーム(うめきたエリア)を発着。ここも東海道本線の貨物支線である「梅田貨物線」にあるホームです。
大阪駅を出た「はるか」は、そのまま梅田貨物線を進み、西九条駅付近で大阪環状線の線路に合流。新今宮駅では関西本線(大和路線)に転線し、天王寺駅へ進みます。さらに天王寺駅を出発すると、同駅構内の短絡線を通って、阪和線へと進みます。

さまざまな線路を活用して運転されている「はるか」ですが、一方で関係路線が多岐にわたるため、ダイヤ乱れなどの影響を受けやすい列車です。また、「はるか」が通る山陰本線の京都駅付近と、大阪環状線に入る手前の大阪~西九条間は、ともに単線となっており、ダイヤ編成上のボトルネックとなっています。さらに西九条駅では、関西空港方面の列車は大阪環状線の外回りをまたいで内回りに転線するため、ダイヤが乱れた際にはさらなる遅延が起きやすいポイントです。

後者の大阪~西九条間については、2031年度の開業が予定されている「なにわ筋線」が、その解決の一手となります。なにわ筋線は、大阪駅地下ホームから、なにわ筋の地下を経由し、JR難波駅と南海の新今宮駅に至る路線。「はるか」も同線に乗り入れることが予定されており、大阪環状線に関連する部分のボトルネックは解消される見込みです。
また、京都駅付近の線路についても、始発駅を山科駅に変更することで、課題解決が図られるようです。JR西日本は、山科駅の改良工事を進め、2029年度にも「はるか」を山科駅発着にすると発表しています。これにより、京都駅の「はるか」発着ホームは30番線から別のホームへと変わることになるため、山陰本線との線路共用も解消されるようです。