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東武の新型80000系で「ドア上の画面」が減った理由とは? 一方で裏に「先進的なシステム」も採用

2025年3月16日(日) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

東武鉄道では3月9日、野田線(東武アーバンパークライン)の新型車両「80000系」の一般営業運転を開始しました。

東武野田線用の新型車両80000系
東武野田線用の新型車両80000系

80000系は、「リビング」がテーマの車内デザインや、子ども連れ利用者に配慮したスペース「たのしーと」の設置、そして先進的な走行システムの採用など、それまで野田線の最新型だった60000系と比較すると、さまざまな部分で進化していることがうかがえます。一方で、消費電力削減と列車本数の維持の両立などを目的に、編成は従来車より1両少ない5両編成となるなど、今後の持続的な鉄道事業運営のためのコストカット策も見られます。

その80000系がデビューする前に話題となったことの一つが、扉上の「旅客案内表示器」が少なくなったこと。60000系では、全ての乗降用ドアの上に、1画面のLCDパネルを設置していました。80000系では、停車駅などの案内用と広告などの表示用の2画面に増えた一方、配置は左右のドアに交互という「千鳥配置」となりました。デビュー前に80000系の車内映像が公開された際、SNSでは「画面が減った」などと指摘する声が見られました。

80000系の扉上に設置された旅客案内表示器。60000系では1画面だったものが、80000系では2画面になったのですが……
80000系の扉上に設置された旅客案内表示器。60000系では1画面だったものが、80000系では2画面になったのですが……
千鳥配置となった結果、設置箇所としては半減となりました
千鳥配置となった結果、設置箇所としては半減となりました

理由を東武鉄道に尋ねると、「お客様へのご案内や広告需要等を総合的に勘案し、各ドア上千鳥配置の設定としました」とのこと。一方で、「80000系車内表示器については、60000系と比較し設置している場所としては減っておりますが、60000系が1画面なのに対し、80000系では2画面としており、トータルの画面数としては同様となっております」とも説明しています。

旅客サービス面では60000系より低下した80000系の旅客案内表示器ですが、一方でシステム面では先進的な設備が使われています。

従来のシステムでは、地上設備から受信したデータを編成内の中央装置にストックし、そこから物理的な車内ネットワークで各画面へデータを伝送していました。一方、80000系では、車両間、および各車両内のデータ伝送方式を無線に変更しました。これにより、車両間でやり取りするデータを減らすことができたため、車両ぎ装線の大幅な削減につながったといいます。

扉上と天井に見える黒いものが、旅客案内表示器のデータ送受信用アンテナ。編成間に引き通していたぎ装線から無線に置き換えることで、車両ぎ装線の大幅な削減を実現したといいます
扉上と天井に見える黒いものが、旅客案内表示器のデータ送受信用アンテナ。編成間に引き通していたぎ装線から無線に置き換えることで、車両ぎ装線の大幅な削減を実現したといいます

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