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地下鉄の冷房は、ひと昔前は車両ではなくトンネルを冷やしていた

2021年8月7日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

冷房が効いた現代の地下鉄の車内(イメージ)
冷房が効いた現代の地下鉄の車内(イメージ)

暑い日が続く夏。そんな時期の鉄道車両には、冷房が欠かせません。鉄道車両への冷房搭載は、1950~60年代に特急などの優等車両へ、1960~70年代に通勤用などの一般車両へ、それぞれ普及が始まりました。大手私鉄においては、1980年代中ごろには多くの車両に冷房が搭載されていたといいます。

一方、通勤電車への冷房搭載が進む中で、東京の地下鉄では冷房搭載が進んでいませんでした。それどころか、冷房を搭載していた乗り入れ先の会社の車両でも、地下鉄線内では冷房のスイッチを切っていたのです。

冷房を使わなかった理由は、トンネル内での温度上昇を防ぐため。冷房は、室内を冷やす一方で、屋外に熱を排出します。トンネル内でこれを使うと、駅のホームを含むトンネル内の温度が上昇してしまいます。これを防ぐため、営団地下鉄(現在の東京メトロ)では1971年から、トンネル内に冷房を設置し、内部を冷やす方策を採っていました。また、銀座線ではトンネル断面が小さいため、小型の冷房装置開発が必須だったことも理由となっています。

しかしながら、列車本数の増大による車両からの廃熱の増加、地下水くみ上げによる地下空間の温度上昇などで、この効果は限定的に。結局、営団地下鉄では1987年に車両冷房搭載の方針を決定し、1996年に全車両への冷房搭載を完了。トンネル冷房は、2006年にその役目を終えたのでした。

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