JR東日本は3月4日、「E10系」の開発を発表しました。E5系などに代わる次期東北新幹線車両で、2030年度内の営業運転開始を予定しています。

JR東日本の新幹線車両は、1994年デビューのE1系以来、「E〇系」という形式名が使われてきました。EはJR東日本の「東」=「East」を示すもので、JR東日本の車両であることを示すものとなっています。
2025年現在、JR東日本最新の新幹線車両は、2024年デビューのE8系です。そのまま順当に付番するのであれば、次期新型車両はE9系となるはず。ですが、今回発表された車両は、一つ番号を飛ばしたE10系という形式となりました。
JR東日本の広報部門に聞くと、同社の新幹線車両では、9のつく形式名は検測車両や試験車両で使用しているということ。E9系という車両は存在しないのですが、9から始まる900番台の形式名はすでに使われており、番号が重複するため、E10系は番号が一つ飛んだように見えるようになっています。
E9系ならぬ9を使う車両は、現役の車両だけでも、E926形、E956形の2形式が存在します。
E926形は、「East i」の愛称を持つ検測車両。JR東日本版の「ドクターイエロー」で、線路や信号、電気、通信機器の状態を、走りながら検査できる車両です。
E956形は、次世代新幹線開発の試験プラットフォームとして開発された試験車両。「ALFA-X」の愛称を持っています。ちなみに、このALFA-Xが製造された目的である「次世代新幹線」車両というのが、今回発表されたE10系です。

同様に、E5系・E6系の開発に際しても、E954形・E955形「FASTECH 360」が製造され、時速360キロ運転実現(最終的に断念)に向けたさまざまな試験が実施されていました。また、JR東日本が発足したばかりの1992年にも、952形・953形「STAR21」が製造されています。
新幹線の試験・検測車両に9から始まる形式名を付番する方法は、国鉄時代に始まりました。検測車両としては、0系スタイルの922形や、2月にJR東海持ちの編成が引退したことで話題となった923形など、東海道・山陽新幹線の「ドクターイエロー」が、900番台の形式。その他の事業用車両でも、ディーゼル機関車の911形や、山陽新幹線と東北新幹線の双方で試験走行を実施した961形などが、900番台を名乗っていました。

JR東日本では、在来線の試験車両でも900番台の形式名を使用しています。たとえば、水素ハイブリッド電車「HYBARI」はFV-E991系という形式名。京浜東北線を皮切りに首都圏各地に投入された209系も、1992年に登場した試作車3本は901系という形式名でした。