首都圏の中央線では、3月15日より快速電車でのグリーン車サービスの提供が始まります。東海道線や高崎線などではすでに定着しているグリーン車サービスですが、いよいよ中央線でもそのサービスを受けられるようになります。

とはいえ、正式なサービス提供開始より前、2024年10月ごろには、中央線快速ではすでにグリーン車の連結が始まっていました。以降、3月15日までの約半年間は「グリーン車お試し期間」として、グリーン料金不要の普通車扱いとなっています。
このような措置が採られた背景には、準備期間の長さがありました。
中央線快速でグリーン車の組み込み対象となった編成は57本ですが、この数をグリーン車サービス開始直前の深夜数時間ですべて連結することは不可能です。そのため、完成したグリーン車を既存の編成へ順次組み込んでいき、サービス提供の準備が整うまでは、料金不要でお試し利用ができる状態としてきたのです。つまり事業者側の都合だったわけですが、サービス開始前にも利用者へ存在を周知できたため、本格提供開始以降にも利用したいと思わせるようなPRにもなっているのではないでしょうか。
首都圏の主要路線では中央線以外でも、JR発足後、宇都宮・高崎線系統と常磐線に普通列車グリーン車が新規導入されています。各線でもグリーン車組み込みに時間を要したため、中央線と同様にお試し期間が設定されていました。

常磐線は中央線と同様、単純に組み込むだけでよかったのですが、課題があったのが宇都宮・高崎線系統。当時、グリーン車組み込み対象となったE231系は、宇都宮・高崎線のほか、湘南新宿ライン経由で東海道・横須賀線にも乗り入れていました。宇都宮・高崎線内だけであればお試し期間として無料開放しても問題ないのですが、東海道・横須賀線に入線してしまうと、両線ですでに提供されているグリーン車サービスとの区別がつかなくなります。
そのため、2004年7月のグリーン車組み込み開始から、同年10月のダイヤ改正までの間、グリーン車組み込み編成は湘南新宿ラインに入線しない運用に限定して運転されていました。それでもダイヤ改正後のグリーン車所要数を満たすためには限定運用に充当できる分では足りないことから、ダイヤ改正直前には大量のグリーン車組み込み作業が発生したといいます。

ちなみに、2004年10月のダイヤ改正時点で、宇都宮・高崎線(湘南新宿ラインを除く)のグリーン車組み込み率は15パーセント程度で、全列車が連結していた湘南新宿ラインよりも低い割合。宇都宮・高崎線上野口のグリーン車連結率が100パーセントとなったのは、2006年のことでした。