北陸新幹線が長野~金沢間で延伸開業してから、2025年3月で10周年を迎えます。1997年に同線最初の区間が開業した時点では、名前の北陸まで行かない路線でした。そのため、かつては「長野行新幹線」や「長野新幹線」と呼ばれていましたが、2015年3月14日の長野~金沢間延伸開業で、ようやく「名が体を表す」路線名となりました。
一方、新幹線延伸前日の3月13日には、在来線特急「はくたか」が、利用者や沿線住民などに盛大に見送られ、惜しまれつつ運転を終了していました。

在来線特急「はくたか」は、越後湯沢駅と金沢駅・和倉温泉駅を、北越急行ほくほく線経由で結んでいた列車。1997年のほくほく線開業から、2015年の北陸新幹線金沢延伸まで、首都圏と北陸を結ぶ鉄路のメインルートを構成する列車となっていました。
この列車の特徴は、在来線特急では日本最速だったこと。ほくほく線は、JR線との接続部付近を除いて踏切がなく、線路も直線状と、高速運転に向いた路線です。ここを走った「はくたか」は、運転開始当時は時速140キロで走行。後に段階的にスピードアップし、最終的には時速160キロでの運転となっていました。
車両は、当初は681系(JR西日本・北越急行保有)と485系(JR西日本・JR東日本保有)を使用しており、このうち681系のみが時速130キロ超での運転対応車でした。後に、最後まで残った485系JR東日本車の運用を代替するため、北越急行の683系8000番台も登場。これによって、全ての定期充当車両が時速160キロ運転対応となりました。
首都圏と北陸を結ぶ「翼」として活躍した在来線特急「はくたか」ですが、北陸新幹線の延伸開業で役目を終え、2015年3月13日の運転をもって廃止。最終日には、各駅にファンや沿線住民が詰めかけ、旗を振って列車を見送るシーンもありました。

在来線特急としての廃止後、「はくたか」という列車名は北陸新幹線に引き継がれ、首都圏と北陸を直接結ぶ列車となりました。また、2010年に開業した京成成田スカイアクセス線の「スカイライナー」では、在来線特急「はくたか」と同じ時速160キロ運転を実施しており、在来線最速列車の座を引き継いでいます。
「はくたか」がほくほく線から去った後、それまで同列車で使われていた681系と683系8000番台は、大部分が「しらさぎ」に転用されました。その後、2024年の北陸新幹線金沢~敦賀間延伸開業で、北陸方面の特急列車は運転区間を大幅に短縮。681系は、余剰の発生や、元「サンダーバード」用683系の「しらさぎ」転用によって、元「はくたか」編成も含めて運用離脱が続いています。683系8000番台は塗装を変更のうえ「サンダーバード」用に転身していますが、その他の「はくたか」時代を知る681系たちは、第一線を退きつつあるようです。

また、「はくたか」廃止後のほくほく線では、同列車を受け継ぐ列車として、「超快速『スノーラビット』」が登場しました。最も速い列車では、途中停車駅は十日町駅のみという特急並みの設定。名称は北越急行所有の681系・683系の車両愛称と同じで、速度こそ「はくたか」に叶わない(時速110キロ運転)ものの、運行面でも精神面でも「はくたか」を引き継いでいました。
しかし、運転開始から8年が経過した2023年のダイヤ改正で、この超快速は廃止に。さらに同改正では、普通列車の最高速度も、時速110キロから時速95キロへと引き下げられています。