東北へ出かける機会があったので、キヤノンの一眼レフデジタルカメラ「EOS 7D MarkII」を使って撮影してみた。同機は鉄道撮影にどれくらい適しているのだろうか?
撮影に関しては初級~中級レベルの私だが、使用してみた感想をレポートする。
(撮影日:2015年7月3日~4日、撮影:鉄道コムスタッフ・たかあき)
10コマ/秒の連写威力は?
今回試すことにしたEOS 7D MarkIIの最大の特長は、約10コマ/秒の連写ができることだ。この機能を試すのに相応しい場所を考えたとき、東北新幹線「はやぶさ」が最適だと思った。日本最速の時速320キロで走行するのは、宇都宮~盛岡間。今回は、その間にある北上駅で、撮影に挑戦してみた。
最高時速320キロの「はやぶさ」「こまち」を約10コマ/秒の連写で撮影。気持ちよく感じる音とスピードでシャッターが切れた
Canon EOS 7D MarkII EF100-400mm F4.5-5.6 L IS USM 絞りF5 1/2500秒 ISO1250
撮影してみて最初に思ったのは、シャッター音が心地よいことだ。軽快で静かなシャッター音は、高速撮影モードだとは思えないほど。もっとたくさん連写したい気持ちにさせた。
列車は驚く速さで過ぎ去っていったため、最高速度に近いスピードを出していたのではないかと思う。連写したカットを見ると、車両の位置がわずかしか変わっておらず、約10コマ/秒のEOS 7D MarkIIの威力に驚かされた。今回は望遠レンズを使っていたこともあるかもしれないが、想像以上に細切れで撮れていた。これなら架線柱などの障害物が複数ある撮影地だったとしても、連写を使って良い写真を撮ることができそうだ。
比較しやすいように、「出」と書かれた標識の近くに、E6系の先頭部が来たシーンを切り出して並びべてみた。前後のカットを比較すると、車両の位置はわずかにしか変わっていない。連写の威力にびっくりさせられる
AFなどの性能は?
今回私が出かけたのは、北海道新幹線の工事の様子を見たかったからだ。津軽線の大平駅で降り、新幹線と在来線の結合部分へ行くと、すでに高架橋やレールの敷設工事は終わっているようだった。
木々のわずかな間から撮影。新幹線の試験走行は夜間に行われているため、新幹線と在来線特急列車との融合を撮影するのは難しい
Canon EOS 7D MarkII EF100-400mm F4.5-5.6 L IS USM 絞りF5.6 1/320秒 ISO100
北海道新幹線と在来線との結合部分を訪れると、中央の新幹線線路を挟むように、在来線が両側に延びていた。わずかなすき間からの撮影だったが、EOS 7D MarkIIがAPS-C機であるおかげで、アップで撮影できた。焦点距離はフルサイズ機の1.6倍になる。
その後、次の列車まで時間があった都合で中小国駅まで足をのばしてみた。すると、線路近くでカメラを構えている人に遭遇。485系「白鳥」が来るとのことで私も撮影してみた。485系が定期特急列車として走っているのは、全国でこの列車のみで、それも来年春までだ。
新中小国信号場を通過していく485系「白鳥」号。こんなシーンが見られるのも今年度限り。肝心のピント合わせは65点AFで確実に撮影することができた
Canon EOS 7D MarkII EF24-70mm F4 L IS USM 絞りF5 1/500秒 ISO100
65点もあるオートフォーカスセンサーが役に立った。車両の先頭部分に、65点の中から1点を指定する「スポット1点AF」でピントを合わせて、高精度な「置きピン」をすることができた。
今回はカメラにまだ慣れていないこともあり「置きピン」を使ったが、EOS 7D MarkIIでは、「AIサーボAF」を使って「置きピン」をせずに撮影することもできる。「AIサーボAF」は、被写体(列車)の動きを予測しながらピントを合わせ続けてくれるという優れた機能。連写機能と組み合わせれば、一つの列車につき複数の構図で、満足の得られる撮影ができそうだ。
撮り逃しそうになった「リゾートあすなろ竜飛」。とっさの撮影にも対応できた
Canon EOS 7D MarkII EF100-400mm F4.5-5.6 L IS USM 絞りF5 1/320秒 ISO1000
新中小国信号場付近では、津軽線のキハ40系も撮影できるため、望遠ズームレンズに変えつつ、列車の通過時刻まであたりをぼんやりと眺めていた。すると背後から、静かにハイブリッド車両のHB-E300系が……。当日は「リゾートあすなろ竜飛」が臨時列車として走っていたのだった。あわてての撮影となったものの、なんとか収めることができた。EOS 7D MarkIIは視野率100%ファインダーのため、とっさの撮影でもファインダー内のまま記録され、ありがたい。
夜行列車の撮影にも使える?
せっかく青森に来たので、現役の定期夜行列車としては最後の「はまなす」も撮影して帰ることにした。ホームで編成全体を撮影しようと思い、列車の到着時刻ごろに駅へ。だが、なんと、当日は「はまなす」の客車が増結されており、ホームの端から先頭の機関車を撮影することができなかった……。
青森駅近くのこ線橋から、発車した直後の急行「はまなす」を撮影。ISO感度を上げて、夜行列車らしい走行シーンを撮影できた
Canon EOS 7D MarkII EF24-70mm F4 L IS USM 絞りF4 1/30秒 ISO6400
仕方なく駅近くのこ線橋から走行中の列車を撮影することにしたのだが、カメラの性能のおかげで夜行列車らしい姿を撮影できた。青森駅の夜の雰囲気を感じさせる写真に仕上がり、満足している。EOS 7D MarkIIは常用最高感度がISO16000まで搭載されており、高感度で撮影できるのが嬉しい。最大で、ISO51200まで撮影できる。
今回は、旅のついでに使用したEOS 7D MarkII。充実した連写機能やオートフォーカス、高感度撮影などの機能は、高速列車から夜行列車まで、鉄道の写真撮影を満足させてくれるカメラだとわかった。次は、EOS 7D MarkIIでの撮影をメインにした旅も計画してみたいと思う。